開かずの間 投稿者:10代女性
わたしの通っていた高校の部室棟には、開かずの間になっている部屋があります。
簡単な南京錠がかかっているだけのその部屋、最近手狭な我が部の物置として使えないかということで、後輩と二人で侵入したのです。
ヘアピン一本であっさり開いた扉をくぐると、中には空の棚がいくつかある程度。
これは使えそうだねと後輩と話しながら探索していると、目が暗さに慣れてきて見えた部屋の壁一面に、真っ赤な絵の具で血走った眼球の絵がひとつ描いてあるのを見てしまいました。
その瞬間大慌てで部屋を飛び出したのですが、部室がもらえないとぼやく部もあの部屋を使おうとしないわけがわかるほどリアルで気持ちの悪い絵でした。
一体何部の誰が、何を思って描いたものだったのでしょう…。
箒で掃く音 投稿者:40代女性
子供の頃読んだ本に、幽霊の話を集めた外国の児童書があります。
中でも生前の習慣をなぞるような幽霊の話が印象に残っています。
祖母にも同じような体験があります。
曾祖母が亡くなり、夜明け前、何かを軽く引きずるような、摺り足で歩くような「サッ、サッ」という音が座敷から聞こえるようになり、それはしばらく続いたそうです。
曾祖母は毎朝暗いうちに起き出し、まず座敷から箒で掃除していくのが習慣でしたので、やはりそれは曾祖母が座敷を掃いているのだろうと家族で話し合ったといいます。
誰もいない真っ暗な座敷から、毎日箒の音がして、何やら怖いのと、もう働かずゆっくり休んで欲しいのとで、なんとも複雑な心持がしたものだと話してくれました。
家の者もだんだんと慣れてあまり気にしなくなり、曾祖母の四十九日も過ぎ、気づけば音はしなくなっていたそうです。
亡くなったことに気づかず生前の通り動いていたのか、きれい好きでこの世にまだあるうちは気になって仕方なく、いつものようにしたかったのかはわかりませんが、亡くなってなお、習慣通りに動いた曾祖母の話を、少し怖く、少し気の毒に、少し感心しながら聞いたことを、昔読んだ本の挿絵の、暗く、幻想的な色合いと共に今でもよく覚えています。
不可解な足音 投稿者:30代女性
この夏に実家に帰省していたときのことです。
我が家の実家は母屋と離れに別れており、夜は離れに両親と室内犬が眠りに行きます。
母屋と離れの位置関係は、リビング、廊下をはさんで応接室、その奥が仏間となっており、必ず応接室と仏間を通らないと離れへ行く渡り廊下には行けません。
また応接室の扉は室内犬が悪さをしないように常に閉じてあり、開けると少々大きめの音がします。ここまでが前提です。
その夜私は妹と撮りだめておいてもらったお笑い番組を見ながら、おしゃべりに花を咲かせていました。
時刻は23時少し前です。
不意に廊下を、室内犬が走って通り抜けて行きました。方向は離れがある方から、反対の台所の方へと。
確か22時には母は室内犬を連れて眠りに行ったはず。忘れ物でもしたのかな?と思い廊下の方へ目をやっていても、母もしくは父は来ない。
じっと廊下を見ている私に、妹が、ちょっと怯えて「なに?」と聞きました。
「今、犬ちゃんが走ってったけど、ひとりで来たのかな?そんなことないよね、もしかして置いていかれてる?」
と私は室内犬を追おうとしました。
慌てて妹が私の腕を掴んで、廊下と私を見比べます。
「何も、聞こえなかったよ?」
「え?足音聞こえたよね、走ってく…」
「何も聞こえなかったよ!」
しーんとしたリビングに、お笑い番組の笑い声がいやーな感じに響きました。
少しして廊下を覗いてみましたが、室内犬はいません。
応接間から離れの外側が見えるのですが、離れは既に消灯しています。おそらく室内犬も一緒に夢の中でしょう。
もしかして仏間の横にある客間に寝ている私の娘が起きたのかと思いましたが、娘は変わらず寝ていました。
それで何となく仏間を見てみて、私は得心しました。
その日はお盆の、迎え火を焚いた日でした。
そして並べられたご先祖様たちの位牌。
実家の仏壇には、幼くして亡くなられたことが伺える「童女」とついた位牌があるのです。
その女の子がいつどのように亡くなられたのかは、聞いたことがありませんが昨年の冬に一部リフォームした実家が気になって、思わず走り出したのでしょう。
そういえば足音が走っていった方は、キレイにリフォームした台所や洗面所がある方向でした。
霊感の強い先生 投稿者:30代女性
私の中学の頃の先生の話です。
先生はものすごく霊感が強く、怖い思いを何度もしたそうです。
ある夜、仕事終わりで家路についていた先生は、普段はなるべく通りたくない道を通っていました。
というのも、その場所は昔から曰くつきの場所であり、先生自身もよくそこで人間じゃない何かを見てしまうためになるべく通らないようにしていたのです。
しかし、その道は家に帰るのに最短の道でもあって、その日は用事があるためになるべく早く帰りたかったのです。
まだそんなに遅い時間ではないし、そこそこ車の通りもあるので早く帰れる方を優先してしまいました。
それが間違いでした。
その道は市内でも指折りの大きい公園の横の道です。
その公園自体が危ないので、公園を無事通り過ぎた先生は油断していました。
通り過ぎたところでほっと胸をなでおろしたのですが、次の瞬間にやっぱりこの道を選んだことを後悔したそうです。
道の脇に立っているガードレールの上に明らかに人間じゃないものがいたそうです。
白い女の人が立っていました。
ガードレールの上にです。
こちらを見下げています。
先生にはいつものことなので、その存在が人間じゃないことはすぐに分かったそうです。
それ以上は見ないようにし、まったく無視して必死に帰りました。
車の中には異変はなく、特に苦しくもならなかったのでそのまま家に急ぎました。
家に着きふりきれた安心感でほっとしながら玄関を開けると、廊下に立っていた先生のお母さんが「だめ!入ってこないで!」と叫ばれたそうです。
そう、お母さんも霊感が強いのです。
ふと振り返った先生の後ろには、あのガードレールの女がそこに立っていたそうです。